
一口に好きな本と言っても、それを読んでいない人に強力に推薦して感想を語り合いたくなるものと、その存在すら知らない振りをして読んだことそれ自体を隠していたいもの(笑)との二種類があるわけですが、今年一年間に目を通したもののうち、前者のリストの筆頭として即座に思い浮かんだのが表題の本であります(後者は当然のことながら秘密ですw)。
遡れば、2007年9月9日のエントリーで東浩紀氏のデビュー作の話を書いて以来、4年がかりで彼の著書や編集本の殆ど全てを読破してきたわけですが、上記分類で言えば、その大半は読んだことを隠していたいリストに入る本だったような気がします。。。などというと、未読の人からは何か怪しげな書物(笑)を著している人物と誤解されそうですが、そうではなく、東浩紀氏は現代日本において(私見では)最も卓越した知力の持ち主でありながら、やや特殊なテーマというかマイナーな領域を扱った著作が多かったので、興味を共有していない人とは話題にしづらい存在だったからです。
よく「難しいことを素人でも分かるように平易な言葉で解説できる能力こそが真の知性である」という言い方をする人がいますが、個人的にはその定義を疑問に感じてきました。「難解な事柄というのは、それが難解であるが故に難解な表現でしか言い表せないのでは?」とか「平易な言葉で解説できるということは、そもそもそれは難しい問題なのではなくて、単に分かりにくく表現されていただけなのでは?」と思っていたからです。
ところが本書は、まさに難解な事柄を平明な文体で語ることが可能という正真正銘の実例というほかなく(さすがに平易な言葉で解説とまでは無理としても)、圧倒的な知性というか、今風に言えばネ申業(笑)を感じさせる仕上がりでした。ここで語られている主題は、ある種の政治論というか、社会をどのように作り上げていくべきかについてであり、テーマとしては幾分か平凡なものかも知れません(中身の紹介を始めると長くなるので省略しますが)。しかし、彼の著作を一通り読み続けてきた者にとってある種の不意打ちであると同時に現時点での集大成にもなっていて、かつ、彼の著作の入門書としても読めるという素晴らしい本だと思います。ちょっと固めの話題に興味のある方には是非お薦めいたします。
…ということで、今年は2回しか更新しなかったこのブログですが、もう少し存続させてみることといたします。
皆様どうぞ、良いお年をお迎え下さい。