2024/05/13

瞳をとじて

少しばかり前のことですが、ある患者さんから「ホームページに掲載している写真、ずいぶん前から変えてませんねぇ」との指摘を受けました。何かしら怪しからぬ意図があってそうしていた訳ではなく(笑)、単に失念→放置していた結果なのですが、思い返してみると、かれこれ10年前の写真を使い続けていたので、撮り直して差し替えてみました。


するとスタッフの1人から、そう言えばブログも全然更新してませんねぇと指摘され、こちらもまさに10年ぶりになりますが、新規の投稿をしてみることにしました。


さて、それでは何の話を書こうかと迷った末に頭に浮かんだのは、自分などより遥かに長い31年間の沈黙の後、新作長編映画を昨年発表した映画作家ビクトル・エリセのことでした。表題の『瞳をとじて』に加えて、旧作のリバイバル上映を観てきたところなのです。


これまでも滅多に映画を撮ってこなかったエリセですが、調べてみると、50年のキャリアにおいて、主な長編映画は『ミツバチのささやき』(1974年)、『エル・スール』(1982年)、『マルメロの陽光』(1992年)と今回の『瞳をとじて』(2023年)の4作品だけということに改めて驚きました。しかしそれ以上に驚いたのは、さほど知名度が高いとは思えない彼の新作と旧作が日本全国で上映されているという事実です。


日本にエリセが紹介されたのは1985年で、配給=フランス映画社、上映=シネ・ヴィヴァン六本木というと、その当時東京で映画を観ていた人には色々な思い出があることでしょうし、自分自身もその頃から映画を観たり本を読んだりするようになったのですが、昔の話はさておき。


今回の彼の新作の配給を担当したのはGAGAですが、どこの上映施設でも老若男女さまざまな観客が席を埋めていて、これほど寡作な映画作家が息の長い人気を博している事実を目の当たりにして、一種の連帯感のようなものを感じました。

映画の中身はネタバレになるので書きませんが、登場人物が家の門を通り抜けるシーンや、映画館内のシーンなど、旧作以来のお馴染みの構図が健在でした。そして何より、静謐な緊張感とでも呼ぶべきエリセ映画の張り詰めた空気に久しぶりに接して、完全に圧倒されてしまいました。


喧騒なハリウッド映画とは全く異質な現代スペイン映画を公開してくれたGAGAに敬意を表して、これからはこの会社が配給を担当する映画をフォローしてみようと思った次第です。


追伸:クリニックのホームページの写真のついでに、このブログの写真も新しいものに差し替えてみました。私の隣に写っている若い女性は、私のムスメですので誤解ありませんように。(スマホで見る場合には「モバイル バージョン表示」から「ウェブ バージョン表示」に変更が必要です。)